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反抗期と成人儀礼

反抗期っていったい何だったんでしょうね。
30を過ぎてしまって、最近の友達同士の会話が親の病気のことだったりしてしまう今、
ふとあの頃の自分は何故あんなにもおかしな自分だったのか・・・と自分のことながら不思議に思います。

反抗期っていっても第一次、第二次ってやつがあるようですが、
第一次反抗期ってのは2~3歳くらいの時のことで、自我の強い子に特に強くあらわれるようです。
この時の自分なんて覚えてませんから、ここで言う反抗期は第二次反抗期、思春期の頃に起こるものです。

どうしてあんなにもイライラしていたんでしょうね。
自分の未熟さが頭でよくわかってくる時期だっただけに、余計に虚勢を張りたくなってしまったのでしょうか。
先の見えない大きな不安感みたいなものがあったんでしょうか。
それでしたら今でも同じようなものなんですけど。

うちの両親は口うるさく色々と意見したり、進路を決めてしまったり、行動を束縛したり、
そうしたことは一切なかったんですが、それでも反抗期は自分にもきっちりとありました。
あの頃だって、今と同じように両親には感謝をしていたはずなんですが、あの頃を思い出すと申し訳なく思います。

でも、今日は反抗期の症状について分析しようとか、反抗期にあったことを反省しようとか、そういうことは特に思ってないんです。

どうして反抗期ってあるのかな、と。
いいかえれば、生理的にどうして起こる現象なのかな、っていう疑問です。
他の動物にも反抗期ってあるのかな。
人間だって動物な訳だし、反抗期ってのも生理的現象のような気がしますから、人間だけのものとは思えないんですよね。

前から何となく頭の片隅で気になっていたことです。


動物番組のドキュメンタリーとか見ていると、哺乳類の親が子供を独り立ちさせる時期になると、子供を追い立てるように攻撃して、親元を強制的に離れさせるようにしているシーンを見ますよね。
反抗期っていうのは、いわばその逆じゃないですか。
子供の方が親を遠ざけたい、うるさく思う、みたいな。

かつて近代化する以前には元服の儀式ってのがありました。
男子の成人式として行われる成人のための通過儀礼です。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%83%E6%9C%8D
「一般に15歳に達した男子が成人したことを表すために行われ、氏神の社前で大人の服に改め、総角(角髪(みずら))と呼ばれる子供の髪型を改めて大人の髪(冠下の髻(かんむりしたのもとどり))を結い、烏帽子親により冠をつける(公家、及び、平氏系の武家では、厚化粧、引眉にお歯黒も付ける、源氏系は付けない場合が多かった)。それまでの幼名を廃して烏帽子名(元服名・諱)を新たに付ける。室町時代以降は民間にも普及した。民間においては褌親(へこおや)の元で、初めてふんどしを付け、性に関する知識を授かる。
なお、貴族の女子の成人式は「裳着(もぎ)」という。
江戸時代以降は女性も元服と称し、結婚と同時に、未婚でも18~20才くらいで行った。女性で元服という場合は、地味な着物を着て、日本髪の髪形を丸髷、両輪、又は先笄に替え、元服前より更に厚化粧になり、鉄漿親(かねおや)によりお歯黒を付けてもらい、引眉する。お歯黒を付けるが引眉しない場合は半元服と呼ばれた。半元服の習慣は現在でも祇園の舞妓、嶋原の太夫等、一部の花街に残る。」 ウィキペディア(Wikipedia)参照

元服をひとつのイベントとして、現在も行っているところは全国各地にあるはずです。
元服の行われる15歳は数え年の15歳ですから、僕も中学2年生の時に「立志式」というのをやりました。

でも、今ではこうした成人儀礼は形ばかりのもので、誰もがまだまだ半人前の子供、という扱いですし、当人だって、実際社会のシステムだって、大人になったなんて思ったりしていません。
反抗期の時期は、こうした成人儀礼を行っていた時期とぴったり重なっています。
ようするに親元から本人が自立をちょうど志向しだすという時期に、きっちりと行われていた訳ですよね。
つまりは、生理的に人間も動物のひとつとして、反抗期がはじまるこの時期に、子供は親元から自立をするっていうように、設定されているんだと思います。

ただ実際に現在の人間はそうはなっていませんよね。
少なくとも日本では、15歳の時期に独り立ちしている子供が何パーセントいるんでしょうか。
子供の学力低下が叫ばれて公立高で中・高一貫教育を導入したり、有名私立大学では幼稚園・小学校から一貫教育を行っている今、今後も絶対こうした原点回帰はまずないと思います。

最近の日本社会の親に対する成人した子供の残忍な事件やニート問題、家出問題などなど。
その原因は、日本の社会が恵まれているからとか、社会のシステム自体に問題があるとか、学校や親の教育であったり、本人自身の問題であったり、突き詰めていけば勿論色々と理由は導き出せるんでしょうけど、根本的には人間自体が、生理的に本来自立をしなければならない時期に、自立をしないシステムになってしまっていることが、こうした歪みを産んでしまっているんではないか、と思う訳です。
精神的に大人になり切れないってのもある意味しょうがない部分はあるのかな、と。

日本の社会は、動物としての生理的な自然の成長過程に乗っからないまま進んで行ってしまってます。
最近、反抗期についてそう考えるようになり、反抗期に対する疑問が少し解けたような気がしています。

30まで学生をさせてもらっておきながら、言えるセリフではないのですが。
その事自体は勿論後悔はしていないし、とても感謝しているんですが・・・・。
15歳で独り立ちしなければならない時代に生まれていたら、きっと今より人間的にたくましい自分となっていたんだろうな、と今日この頃の自省も含んでいる訳なんですが。




投稿:sunifu | 2007年8月24日 20:47 | あなたの知らない世界

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感想

家庭教師をしているものです。
現在担当している生徒さんがいきづまってしまい、あせって反抗期についてネットサーフしていたのですが、しっくりとくるものがなかなかみつかりませんでした。
こちらにたどり着いてほっとさせていただきました。
ありがとうございました。

投稿:まっつー | 2008年7月22日 14:31

まっつーさん、コメントありがとうございます。

当ブログは反抗期について専門的なことは何ひとつかいていない雑感なんで、実際にその世代の子と関っておられる方の参考にはならなかったかと思います。

反抗期っていうのは、本人もわかっちゃいるけどやめられない、的な衝動なのかも知れないですね。
適度な距離を見つけて頑張ってくださいね。


投稿:スニフ | 2008年7月23日 08:52

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